IE9ピン留め

弁理士の日

今年もやってきました7月1日「弁理士の日」。昨年同様、「独学の弁理士講座」管理人のドクガク様(@benrishikoza 様)よりお題を頂戴いたしましたので、短めながら少し書いてみたいと思います。

さて、今年のお題は「弁理士にできること」だそうです。

弁理士にできること→弁理士にしかできないこと→いわゆる専権業務、なんてことがまずは頭に浮かびましたが、実はその直後に思い浮かんだことは「だからって専権業務しかしちゃいけないってことはないよね」ということでした。そりゃ当然です。弁理士でありながら総理大臣つとめたってよいのです。

弁理士の資格取得をされた方/される方の目的や目標はそれぞれで、独立を目指している方もいらっしゃれば、独立までいかずとも勤務先の特許事務所で自身の名前で仕事がしたいという方もいらっしゃるでしょうし、単に資格マニアな方もいらっしゃるかもしれませんし、知財業界にいるからには自分の知識を客観的に示す手段として、とお考えの方もいらっしゃるでしょう。

「弁理士という資格の、本来の意味(つまり専権業務ができる)からはずれてるよ!」と、一部からはお叱りの声も聞こえそうな目的もありそうですが、興味本位で受験して簡単に合格するような試験でないことは確かで、弁理士の資格をお持ちの方が知的財産に関して一定水準の知識をお持ちであることと、その知識を身につけるために並々ならぬ努力をされたことは確かだと思うのです。

と、ここで思い出すのが、「知的財産」とは「特許・実用新案・意匠・商標」だけではないということです。著作権法はもちろん、種苗法や不正競争防止法なども関係してきます。実際、弁理士試験では著作権法と不正競争防止法が出題範囲に含まれています。

ところが、私がお会いした弁理士さんで「不正競争が得意」「著作権が専門」なんておっしゃる方は、実はいらっしゃいません。正確には数名いらっしゃいますが、その方々は弁理士登録をしている弁護士さんなのですね。(もっとも、私が存じ上げている弁理士さんの母数が2ケタ前半なのがアレですけれども。)

どこでどんな風に聞いた話だかも忘れてしまいましたが、エンタテインメント大国アメリカでは、舞台や映画等のプロデュースには大抵特許弁護士(patent attorney)が加わっているとか、プロデューサー自身が特許弁護士であるとか、耳にしたことがあります。専権業務はさておいて、知的財産の専門家としてできることは、実はたぁぁぁーーーっくさんあるのではないかな、と思うのです。

企業にいるなら、知財部でなくて広報担当でもいいじゃありませんか?企業イメージを含めたブランディングに関するお仕事なんて、いかがでしょう?

やれ出願件数が減っているだの、その割に弁理士の数が多すぎるだの、合格者を減らせだの、有資格者でも受験生でもない私の耳にさえ色々な情報が飛び込んできますが、専権業務にこだわりすぎなければ、知財専門家としての需要はあちこちにあるような気がするのです(甘い?)。

「そんな『弁理士じゃなくてもできるようなこと』を何故わざわざ弁理士がやる必要があるのか」「そういう部分に知財の専門家が要るなら知財管理技能士という人達がいるではないか」なんていうツッコミが来そうではありますが、以上、部外者から見た「弁理士にできること」でございました。

30分で書き上げたので、まとまりの無さなど、お見苦しい点はお許し下さいますよう。。。


# by hemp-vermilion | 2011-07-01 23:41 | 知財いろいろ

特許調査で実は一番肝心(かもしれない)なこと

…なーんてブチ上げてみましたが、最近思うことのひとつです。

先週末、4月9日(土)は、知財系オフ会@東京2011年春 for japan に参加させて頂きました。パテントサロンのオフ会には昨年秋にも参加させて頂き、昨年春のオフ会にも参加し、おかげさまで多くの方と知り合うことができ、交流を深めることができています。

このような場で、初対面の方とご挨拶し、名刺交換などいたしますと、お相手が企業知財部の方や特許事務所にお勤めの方で、ご自身でも特許調査をなさるという方の場合は、いくつかの会話を挟んだ後に
「調査は難しい」
「調査はわからない」

といった流れになることが多い…ように最近感じられるようになりました(気のせい?)。

具体的に調査のどの部分が難しく感じられるのかを質問してみても、具体的に「特許分類、何をどう使ったらいいのか」とおっしゃる方よりも、どうも漠然と「わけわからん」と感じていらっしゃる方が多いようなのですね。「それっぽくやってはいるけれど、なんとなく『これでいいのか』という不安が拭えない」ですとか。

何人か(何人も?)の方と同じような会話を繰り返し、職場でも話題にするうちに、前の職場で新入社員を指導したときの経験がフラッシュバックしてきて、
「もしかして『特許調査がわからない』というのは、コレができていないのが原因なのでは?」
という点に思い至りました。それは、「見つけたい文献を想定する」ということです。

「そんなことは誰だってやっている」
と思われるかもしれませんが、ここでいう「文献の想定」とは、単に
「コレ(無効化したい特許)と同一発明が記載されてるヤツ」
「そうでなきゃせめて類似してるヤツ」
等というだけでなく、もっともっと具体的なもので、そうですね、例を出しますと、

<無効化資料調査の場合>
知財でよくある「六角形断面を有する鉛筆」を例にとります。
請求項の記載が「六角形断面を有する鉛筆」という発明を無効化したい場合、まず、
「どのような文献が見つかれば無効化できるか?」
ということを考えます。もちろん六角形断面を有する鉛筆を開示した文献であるにこしたことはありませんが、現実とは悲しいモノで同一発明を開示した先行文献など見つけられることはごくごくまれです。となると、進歩性を否定し得る文献を、となるわけで、
「(六角形に限らない)多角形断面を有する鉛筆」
「(同じ転動防止効果を奏する)非円形断面の鉛筆」
「いや、鉛筆でなくても筆記具なら」
「筆記具で無ければ同じように転がっちゃ困る軸状モノで…箸とか」
(さすがにココまで来ると、進歩性を否定するのも難しいか…)

などといった具合に、想定するのです。

そしてその想定に従って、特許分類を選択し、キーワードを選択していきます。
例えばFIでいえば、大きく「筆記具」でくくればB43Kであっても、鉛筆(B43K19/00)、シャーペン(繰り出し鉛筆)(B43K21/00)、ペン(B43K5/00)、ボールペン(B43K7/00)ではそれぞれ異なるメイングループに分類されますから、「鉛筆に関する公報を探すのか」「ボールペンを探すのか」によって、検索式は大きく異なってくるはずです。(ちなみに箸はA47G21/10B。)

つまり、「見つけたい文献を具体的に想定する」という作業をせずに、いきなり無効化したい特許の登録公報に記載されている特許分類と同じ分類を使って検索式を立てる、といった作業をしてしまうと、その検索範囲内に見つからなかったときに妙に不安になったり、その先の調査範囲の広げ方がわからなくなったり、調査の「止め時」がわからなくなったりするのじゃないかな…と。

<侵害予防調査の場合>
またしても「六角形断面を有する鉛筆」を例にとりまして、これが「イ号製品」であるとして侵害予防調査を行う場合には、
「このイ号製品はどんなクレーム記載の権利を侵害しうるだろうか?」
を想定します。
「請求の範囲に『六角形断面を有する鉛筆』が記載されているヤツ」は当然ですが、
「多角形断面を有する鉛筆」
「非円形断面を有する鉛筆」
「非円形断面を有する筆記具」

というクレームも、イ号製品を権利範囲に含みそうです。

一見、無効化資料調査の場合と同じに見えますが、注意点があります。無効化資料調査では「三角形断面」でも「四角形断面」でも「五角形断面」でも、とにかく「n角形断面の筆記具」が何かしら記載された文献が見つかればそれは適合文献ですが、侵害予防調査では抽出すべき対象にはなりません。ずばり「六角形断面の鉛筆」か、そうでなければ「多角形断面を有する筆記具」のようにイ号の上位概念が、「請求の範囲」に記載されている公報でなければ、調査依頼者に報告するに足る文献とはならない、ということです。八角形断面のボールペンなんて!ましてや「箸」など!

となれば当然、検索式に使用する分類もキーワードも、無効化資料調査(や、それを含む先行技術調査)の場合とはまたさらに異なってくるわけです。

#####

といったわけで、漠然とした「わからない」も、特許調査によくある、
「分類の使い方(選び方)がよくわからない」
「キーワードの使い方がわからない」
「とりあえず似たようなもの拾っちゃうけど、実は精読スクリーニングに自信がない」

等々といったお悩みも、もしかすると
「見つけたい文献の想定が具体的にできていない」
ことに起因するのではないかと。逆に、この想定がきちんとされていれば、分類の選択にもキーワードの使い方にも精読抽出にも迷いが無くなって、リーズナブルでコンプリヘンシブルな特許調査ができるのではないかと。

考えてみれば、捜し物の具体的なイメージも無しに、ただ闇雲に探し回ったって、うまく行くはずがありません。特許データベースに収録されている公報の数は膨大です。予め明確なヴィジョンを持って、秩序と方法によって探すのでなければ、非効率的にすぎるというものです。

最後に念のため付け加えれば、いくら想定して探しても、想定通りのものが見つかるとは限りませんし、想定外のものが見つかることもありますし、想定したものを想定してなかった範囲で見出すこともあります。特に調査の経験が浅いと、こういうことが良くあります。ですが、それでも文献を想定する作業は調査に必須のものと考えます。情報の海に漂う目的物を、秩序と方法をもって探す、その秩序と方法を組み立てるのに必要と思いますし、調査の止め時を見極めるのにも有効です。最終的に目的の文献が見つからなかったときに、手当たり次第に探すだけではどうしても「もしかしたら、もうちょっと別に探せば見つかるかもしれない」という思いに縛られがちですが、見つけたい文献のイメージが具体的で明確であれば、「ここまで探して無かったのだから、この範囲外にはもうあるまい」という見切りを付けやすくなります。

特許調査は何だかよくわからん!とお悩みの方、いかがでしょうか?

# by hemp-vermilion | 2011-04-12 00:24 | 特許サーチ

意図的 or not 意図的?調査の「漏れ」

特許調査において「漏れ」という単語は、通常、ネガティブな印象で語られます。できるだけ起きて欲しくないもの。避けたいもの。しかし、「漏れ」を単に「調査範囲に含んでいない」という、ポジティブとは言えないまでもニュートラル(?)に使う場合においては、特段忌避するものではありません。

「漏れ」がネガティブになるかどうか、それはその漏れが意図的なものかそうでないかによります。

前回の「再公表公報」シリーズ第三部公開後、@hirohashyさんがこのようなツイートをされていました。
日本語でされた国際特許出願であって、国内書面が提出され、国内移行された案件が再公表公報の発行の要件となると、日本語出願のPCT出願が必ずしも再公表公報が発行される訳でもないということか。移行しなければ、国際公開公報のみになる可能性もあるということだな。

すなわち、日本語の特許文献が100%日本で発行されるわけではなく、日本の特許データベースをが日本語の特許文献を100%収録しているわけではない、ということです。

では、果たして「日本に国内移行しなかった日本語WO公報が調査範囲に含まれないこと」は、「漏れ」なのでしょうか?

確かに第二部で、
・ 再公表公報の発行には大きなタイムラグがあること、
  (公表公報も同様)
・ HYPAT-iデータベースでは「発行日」を条件指定するとそれは国内公報発行日
  (公表日・再公表日)を意味すること、
  (指定日時点で日本国内未発行でも公知文献たりうる国際公開が漏れる)
・ PATOLISで発行日を「PD」で指定すると、公開公報しかヒットしないこと、
・ PATOLISで発行日を「PDX」で指定しても、公表・再公表については公表日・再公表日を
  意味すること、
・ PATOLISでは国際公開日を「PDI」で指定できるがHYPAT-iでは国際公開日を指定する
  機能がないこと、
  

といった再公表公報特有の事情を書きましたが、これは換言すればすなわち、

1) 再公表公報や公表公報が未発行の日本出願は、データベースに収録されない。
  (少なくともIPDL、PATOLIS、HYPAT-iには収録されない。つまり漏れる。)
2) 公知日が例えば「2011年1月10日以前」の先行文献を見つけたい場合、
  HYPAT-iで発行日を「~ 2011年1月10日」と指定すると、日本で未発行だが
  すでに2009年3月31日に国際公開されている日本語WO公報が漏れる
3) PATOLISでは検索コード「PD」「PDX」を用いると、同様に漏れる
4) 但しPATOLISには「PDI(国際公開日)」という検索コードが用意されており、
  PDI<=20110110という検索式を併用すれば網羅できる。


ということになるわけです。

果たして、この「漏れ」をどう捉えるか。

私は、この「漏れ」の捉え方、扱い方は、調査の目的と予算にかかっていると考えています。

例えば1)の漏れは、「現時点で生きている出願や権利」を調査する侵害予防調査においては常にその可能性を気に留めておかなければならないと言えます。が、10年前の出願日を持つ特許を無効化したい調査の場合は、さほど気にしなくて良い点です。ただし、無効化資料調査においては、2)、3)、4)の漏れの可能性を考慮しなければなりません。

ですが、お客様の予算や納期によっては、「敢えて公表・再公表公報を探しに行くことをしない」という選択肢もあり得るとも考えています。とにかく低予算の場合や短納期の場合、わざわざ件数を増やしたり別のデータベースを使用するコストや手間をかけたりすることが、必ずしも求められないこともあるのです。

ですから、意図して「日本に国内移行しなかった日本語WO公報が調査範囲に含まないこと」は、(特にそれが侵害予防調査なら)ネガティブな「漏れ」とは言えませんし、逆にお客様から相応の予算と納期を頂いた上で、できる限り網羅性の高い調査を依頼されていながら「日本に国内移行しなかった日本語WO公報」の存在を忘れていたとなれば、これは意図しなかったネガティブな「漏れ」と言えます。

ですからその後の@hirohashyさんのツイート
網羅性を追求すると母集団も大きくなり、莫大な費用になるケースがあるから、その辺バランスになると思う。その辺提案して貰えるようなコンサル的な要素がある調査会社が私個人としては望むところです。
は、まさに私の考えるところでもあるのです。

どのような公報までを調査対象とするのか、サーチャーは受注の際にしっかり提案と説明ができる必要がありますね。多少クドくなっても
「あれは含めますか?」
「これはひとまず除外しますか?」

という確認は絶対に必要です。
「この検索式ではコレコレのような文献は含まれますか?」
とお客様に尋ねられて、サーチャーが
「えーーーっと…」
なんて口ごもってしまうようでは、お客様に不安を抱かせてしまいます。
「含まれます」「含まれません」
としっかり回答して、含まれない場合はどうして含めなかったのか、含まれない部分は追加調査可能か、含める場合は予算と納期がどのように変わるのか…サーチャーがきちんと納得のいく説明ができれば、お客様も安心して任せて下さるに違いありません!

# by hemp-vermilion | 2011-01-14 00:26 | 知財いろいろ

あとがき

前回、前々回と2回にわたって再公表公報をフィーチャーしてきた当blogですが、毎日毎日何百件という公報を読んでいながら、公報そのものについて記事を書いたことは今まで一度もなかったのだなぁと思いました。

どうやって見つけるのか、どうやって探すのか、どこに何が書いてあるのか…そんなことは考えていても、公報にはどんな情報が載るのかくらいは知っていても、それがどうしてそうなるのかを改めて考えることは少なかったといえます。

ところで、再公表公報にからめて、最後にもうひとつ。

前々回の記事で、再公表公報にはベースとなる特許法上の規定がない、ということを書きましたが、実は再公表公報と同様、特許法上の規定が無いのに特許庁がサービスとして発行している公報が、まだあります。それは、何でしょうか???


それは、出願日から18ヶ月経過前までに登録公報が発行された出願の、公開公報です。

特許法第64条では
(出願公開)第64条
特許庁長官は、特許出願の日から1年6月を経過したときは、特許掲載公報の発行をしたものを除き、その特許出願について出願公開をしなければならない。次条第1項に規定する出願公開の請求があつたときも、同様とする。

と規定されているので、例えば出願と同時に早期審査請求をして、出願から18ヶ月を経過する前に設定登録がされて登録公報が発行されたような場合は、公開公報を発行せずともよいのです。公表前に登録公報が発行になった国際出願も同様。

ちなみに公表公報は184条の9、登録公報(特許掲載公報)は66条、審決公報は193条、の各規定に基づいて発行されています。

というわけで、こういったケースの場合、以前は公開公報は発行されていなかった、と聞いています。ですが、最近は発行されるようになったのですね(そして過去の未発行分は現在全て遡及発行済み)。理由は再公表公報と同じ、「サーチの便のため」です。なまじ「全ての出願は公開される(=公開系公報が発行される)と思い込んでいると、調査漏れが起きてしまうという問題点があったからです。

と、再公表公報というネタだけでひとりで3日も盛り上がってしまいましたが、生意気に知ったようなことをこんなところで書いちゃったりするネタを仕入れて蓄積することができたのも、今まで私に教えて下さったり、逆に私を質問攻めにして下さったりした職場の方々のおかげなのだなぁとつくづく思いました。さらに、senri4000さん、酒井美里さんにも刺激を受けました。色々な方々に、本当に感謝しています。

と、なんだか再公表シリーズのあとがきのようになってしまったこの記事。
たまには、こんな記事もいいよね。



各公報の概要・関係法規については…

# by hemp-vermilion | 2011-01-11 20:04 | 知財いろいろ

再公表公報~その有り難くも面倒くさい存在

前回は再公表公報とは何者か、という記事を書きましたが、今回はその続き、サーチャーにとって再公表公報がいかなる存在か、ということについて書こうかと思います。

何のために法的根拠もない再公表公報がわざわざ発行されるかと言えば、それは前回の記事にも書いたとおり、日本の人がその発明情報や法的状況情報にアクセスしやすいようにするためです。日本で公報が発行されなければ、日本の特許データベース(IPDLも商用データベースも)に収録されず、日本でされた特許出願なのにもかかわらず、わざわざ他のデータベース(大抵はUIが日本語でない)を当たらなければならなくなります。

これは、日本で特許情報にアクセスしようとする人にとって好ましい状況ではありません。例えば製品の開発・製造・販売等を行うに当たっては、それらの行為が第三者の権利を侵害するものであるおそれがないかどうかを確認するために侵害予防調査を行う必要がありますが、この調査では通常「現時点で権利になっている」登録公報だけでなく、「将来権利化される可能性がある」公開系公報も調査対象に含めます。

このとき、再公表公報が発行されていなければ、当然データベースにも収録されず、従って調査から「漏れ」ることになります。侵害可能性のある他者特許は見つからなかったと安心して実施に踏み切った後で、日本語WO公報とともに警告書が送られてきた日には、泣くに泣けません。

WO公報を収録する他のデータベースも併せて検索すれば済む話、といえばそれまでですが、そのようなデータベースは日本の特許データベースより検索コストがかかったり、UIが日本語でなかったりします。あるいはデータベース作成者が、日本の特許文献だけでなく日本語WO公報も収録対象にするくらいのサービスをすればいいのに、という意見もあるかもしれませんが、データ収録に際して多大なコストが発生するので、それがデータベース利用料金に跳ね返ってくると思うと、簡単に賛成もできません。

といったことを考えると、単なる日本語WO公報の再発行というだけであっても、日本国特許庁によって所定の形式に則った公報が発行され、整理標準化データが整備されるということは、特許情報にアクセスする側にとっては大変に大変に有り難いことと言えるわけですね。

ただ、やっぱりそこは再公表(?)。ただ有り難いだけでは終わらず、実は少々面倒くさい存在でもあったりします。

通常、日本に出願された発明は出願から18ヶ月後に公開されます。国際出願された発明も、出願から18ヶ月後に公開されます。どちらも、優先権主張を伴う場合は、優先日から18ヶ月後に公開されます。が、日本で公表・再公表が発行されるのにはタイムラグがあり、時として出願日(優先日)から2年も3年もかかることがあるのです。

何か例として示せるような日本語WOを検索しようかな、と考えたら、ふと自分が過去にこのblogで紹介したことのある日本語WO公報の存在を思い出したので、それを例にとりますと、

2007年08月27日 特願2007-246124を出願
2007年11月21日 特願2007-246124を優先権基礎としてWO2007JP73002を国際出願
2009年03月05日 WO2009/028115が発行(発行言語は日本語)
2010年02月18日 日本に国内書面提出(特願2009-529960)
2010年04月27日 出願審査請求
2010年11月25日 再公表公報発行

国際公開は優先日から約18ヶ月後にほぼタイムラグなく発行されていますが、再公表公報の発行は、なんと優先日から3年以上経ってからです。この3年間は再公表公報発行の恩恵に与ることができないと思うと、せっかくの有り難みも半減してしまうような…

いやいや、それでも、過去全ての日本語WO公報を別途調べることよりは、直近の数年間の分だけを調べることの方が、よっぽど手間もコストもかからなくてよい、と私は思っています。

ただ、
・ 再公表公報の発行には大きなタイムラグがあること、
  (公表公報も同様)
・ 公開の効果は再公表日でなく国際公開日がベースとなること、
  (公表の効果は国内公表日ベース、[184条の10])
・ HYPAT-iデータベースでは「発行日」を条件指定するとそれは国内公報発行日
  (公表日・再公表日)を意味すること、
  (指定日時点で日本国内未発行でも公知文献たりうる国際公開が漏れる)
・ PATOLISで発行日を「PD」で指定すると、公開公報しかヒットしないこと、
・ PATOLISで発行日を「PDX」で指定しても、公表・再公表については公表日・再公表日を
  意味すること、
・ PATOLISでは国際公開日を「PDI」で指定できるがHYPAT-iでは国際公開日を指定する
  機能がないこと、

等々といった特殊な事情を飲み込めていないと、予想外の調査漏れを引き起こしたりする場合があるので、要注意!

と、再公表公報は、検索するのにかくもまぁ面倒くさい存在であったりするのです。

ワタクシとしましては、「年金たまご」が国内段階移行して審査請求までされているってことにビックリいたしました。しかも国内書面提出前に出願審査請求して却下されていたり。とっても権利化したいのね、きっと。。。

# by hemp-vermilion | 2011-01-10 11:14 | 知財いろいろ

< 前のページ 次のページ >