STNリフレッシュセミナー
2009年 08月 28日
INPADOCデータベースは2007年にリロードされ、情報量が格段に増えました。例えば、引例情報。リロード前は、各国特許の引例情報を収録しているデータベースといえばPCIでしたが、選択肢がひとつ増えたことになります。
そして抄録。INPADOCデータベースは、「ファミリー情報」と「法的状況」を調査するものという位置づけであって、入力するものと言えば番号類がメインで、分類やキーワード等を用いて技術内容から検索する調査には不向きでしたが、抄録が収録されたことで、アプローチの手段も増えました。
他にも、年代的なカヴァレッジが広がったりしたのです。万歳!
ところで、INPADOCはSTNだけでなく、PATOLISやDialogでも利用できます。実は、このリロードまで、私が利用していたのはDialogでした。ところが、リロード後にある問題が出てきたのです。
それは、EPの発行言語が正しく表示されなくなったこと。
ファミリーを探す理由として、ある発明について外国クライアントに示さなければならないときに、クライアントの国語で発行されたファミリーがあれば、翻訳しなくても済む、というのがあります。ドイツのクライアントならドイツかオーストリアに、フランスのクライアントならフランスかカナダ、アメリカのクライアントならアメリカ、カナダ、イギリス、香港、南アメリカ、等々。
と、ここで忘れてならないのがEPやWO、つまり複数の言語で発行される可能性のある公報です。EPは英・仏・独のいずれかの言語で公開され、登録公報には請求の範囲と要約だけが3カ国語で記載されます。ファミリーがEPの公開しか見つからない場合に、それが英語なのか、仏語なのか、独語なのか、それはとても重要なことなのです。
しかし何故かリロード後、LA(=言語)の項目には、どの言語で発行されようともEnglish, French, Germanとの表記がされるようになり、原報を確認しなければ発行言語が判明しなくなってしまいました。な、なんという不便な!
この問題は、STNを使うことによって解決しました。STNの検索には専用のクライアントソフト「STN Express」を使用しますが、出力ログをこのソフトのテーブルツールでファミリー表に加工すると(そうでもしなければ、生ログなんてとても見にくくて、大変です)、EPの発行言語を確認することができたのです。
でき「た」というのは、今ではできない…というより、STN Expressのバージョンが上がったら、表示されなくなってしまったのです。8.4になったら、また表示されるようになるかしら???今は8.2を使用していますが、8.3であれば受けられるはずの別のファイルを検索するときのメリットが、受けられません。まぁ、私は化学系サーチャーではないので、大した損害を被っているわけでもないのですけれどね、実のところ。。。
Dialogでは、わざわざログを加工しなくても、ファミリーは特定の出力形式を用いれば表形式で出力されます。あぁ、どちらもこちらも、帯に短し襷に長し。一長一短。
さらに…Dialogでは、レコードの単位は「ファミリー」でしたが、STNでは「発明(出願)」。優先権番号から検索すると何件もヒットするので、ソートしなくてはなりません。
と、ようやくここで冒頭の話に戻って、INPAFAMの出番です。基本的にはINPADOCと同じですが、データの持たせ方が「1レコード1ファミリー」なのです。しかも、デフォルト形式で出力すると、ファミリー情報は表形式で出力されます。ひゃっほう!
INPAFAMのおかげで、ゴチャゴチャしたログともテーブル加工ともFSROTコマンドともおさらばです。ですが、ですが、あぁやっぱり、EPの発行言語は確認できず。でも、Espacenetの原報PDFへのリンクをログ中に表示できるので、手間はかからなくなるかしら。
by hemp-vermilion | 2009-08-28 23:53 | 特許サーチ