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「年金たまご」の特許

週末は大学院で授業を受けた他は、買い出しに行ったり料理をしたりお客様をもてなしたりで、珍しくネットから遠ざかっていました。週があけて今日、知財系のニュースを読んでびっくり:「年金たまご」で特許出願

以下、NHKのサイトの記事から一部引用すると、7月24日付けで、

「年金たまご」と名付けた独自のシステムで不正に資金を集めたとして捜索を受けた東京の会社が、年金たまごのシステムの特許を出願していたことが警視庁の調べでわかりました。特許は取得できていませんが、会員を集めるためのセミナーで「特許を取っている」と事実と異なる説明をしたこともあったということで、警視庁は特許を持ち出した宣伝をして参加者を信用させていたとみて調べています。

とのことです。同記事によると、「積立金の20倍近い金額をボーナスとして受け取れる」と説明していた「年金たまご」と名付けたシステムを、おととし8月に特許出願していたことが分かったのだそうで、特許を取得できてはいなかったが、会員を集めるためのセミナーで「特許を取っている」と事実と異なる説明をしていたのだそうです。「警視庁は、特許を持ち出した宣伝をすることで参加者を信用させ、数十億円の資金を集めていたとみて調べて(カギカッコ内同記事より引用)」いるとのこと。

とりあえず特許出願されていたことは確かそうなので、早速調べてみることにしました(試験前だというのに、どれだけ特許検索が好きなんでしょう、私。。。)。

ところが、出願人名を「ライフ・アップ」としても「田澤吉美(社長名)」としても、発明者を「田澤吉美」としても、ダメもとで発明の名称を「年金たまご」としてみても、IPDLでは見つかりませんでした。おととしの8月に出願しているなら、すでに公開されているはずです。もしかして、記事の記載が間違っているのかもしれないと思いました。知財系のニュースでは、公開公報が出ただけで「特許を取得」などと報道されることがあるなど、悲しいけれどよくあることです。

しかし!ここで「ありませんでした」などといっては、「特許サーチャー」の名が泣きます!もう少し粘ってみることにしました。記事中でハッキリと「出願はしたが権利取得はしていない」と言っているのだから、出願・公開・権利取得の混同はないとして、一昨年8月に出願されたのは事実だという前提に立つとすると、何故、ヒットしないのか?

理由を考えて、
1)出願人・発明者が会社名・社長名だという推測が間違っている。
 「年金たまご」のシステムを詳しく知らないと、他の検索アプローチ(特許分類、
 キーワード等)から見つけ出すのは難しい。
2)出願したのは事実だが、その後こっそり取り下げた。
 公開前に取り下げて、例え先願の地位が残らなくても一応「出願した」とは
 言える?
と、ここまできて、
3)「取下擬制」
ということを思いつきました。一昨年8月の出願なら、審査請求期限は未だですが、優先権主張をして新出願をしたのかも…と、考えついたのです。しかし、優先権主張を伴う新出願をしたとしても、公開基準日は基礎出願日です。それでも遅れるとすれば、あれしかありません、国際出願!

半信半疑ながら、espacenetでinventorとして「tazawa yoshimi」を入力するとヒットは5件。しかし、この中にはそれらしきタイトルがありません。「tasawa」と読むのか?「yosimi」なのか?と試してみたら、「tazawa yosimi」で1件ヒットしました!タイトルは「SYSTEM AND METHOD FOR DISTRIBUTING EARNINGS」。これだ!

Publication number: WO2009028115 (A1)
Publication date: 2009-03-05
Inventor(s): TAZAWA YOSIMI [JP]
Applicant(s): TAZAWA YOSIMI [JP]
Classification:
- international: G06Q30/00; G06Q30/00
- European:
Application number: WO2007JP73002 20071121
Priority number(s): JP20070246124 20070827

espacenetより引用)

なるほど、確かに基礎出願は一昨年の8月に出願されているようですね。日本語のWO公報で、サーチレポートにはY文献が2件記載されていました:
・特開2006-146686(有限会社ピュアコーポレーション)
・特開2005-259095(仲村善利、高橋正輝)

レビューしたいところですが、何しろ試験前なので、ここまでにしておくことにします。ご興味がある方は是非!
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by hemp-vermilion | 2009-07-27 22:43 | 好奇心

「買い替え」と「もったいない」との間

最近、我が家のオーブンレンジが不調です。電子レンジ使用中に突然止まってしまったり、オーブンの温度設定ができなくなったり。今日はローストビーフを焼こうとして250℃まで余熱し、いざ肉を入れてロースト開始!とスタートボタンを押したら、効かない!!半泣きであれこれいじってみましたがダメで、どうしても温度設定が210℃までしか上がりません。最初に高温で肉の表面を焼き固めることが大事なので、ここは譲れない設定です。

いったん取り出してフライパンで表面を焼いてからオーブンに戻すことも考えましたが、今日はお客様のおもてなし用ということで肉は2㎏の塊です。折悪くダンナ様はお酒の買出しに出かけており、自分ひとりで2㎏の肉をフライパンで扱う自信などなかった私は、仕方なく210℃で焼くことにしたものの、その時にはすでに余熱した庫内が冷めてしまって、加熱のやり直しに。

結果、焼きあがりは失敗。お客様に出せないものではありませんでしたが、外側が弾力あふれる咬みごたえで、真中がピンク色をしてやわらかい絶妙なレアの、あの理想のローストビーフからはかけ離れた焼き加減に、心底がっかりしてしまいました。

私の実家にあるオーブンはビルトインタイプで、電気とガスの両方の加熱手段をもっています。庫内も広く大きくて、高さのあるシフォンケーキも焼けますし、一度に2焼き分のクッキーを焼くこともできる程です。鉄のフライパンで表面を焼き固めたらフライパンごとオーブンに入れてハンバーグを焼くこともできます。が、庫内に熱ムラなどなく、手前も奥も上段も下段も均一に焼けるのに、「表面にちょこっとだけ焦げ目をつけたい」などの要求にも応えてくれるスグレモノ。

それに引きかえ我が家のオーブンは、庫内がせまいのでシフォンケーキも焼けず、クッキーも少量ずつしか焼けず。しかも、電熱線の配置されている奥の方と、扉のある手前の方とで熱ムラがあり、そのままでは「奥の方は焦げて手前が生」ということになってしまうため、焼いている途中で天板を180度回転させるという面倒くさい作業が必要です。焼きあがるまでは決して扉を開けてはならないシュークリームなど、夢のまた夢。

恐らく終の棲家となるであろう今の家に越してきて以来、「いつかは高性能オーブンを」とダンナ様と夢見てきましたが、「まだ壊れたわけでなし」と今のオーブンレンジを使い続けてきました。買い替えたいのはヤマヤマなのですが、完全に使えないというわけではない以上、「まだ何とかなる」「もったいない」との思いもあり、なかなか決心がつきません。

捨てないで使い続けるとすれば、今のオーブンレンジは電子レンジとして使い続け、高機能なオーブンを新たに買うという選択肢もありますが、(これだとオーブンの使用中は電子レンジが使えない、というのが解消されて一石二鳥!)台所に2台置くとなるとスペースの問題が出てきます。

あぁ…思い切って買い替えるか、完全に壊れるまでは使い続けるか。いずれにせよ、予算というものがあるので、決断は冬のボーナス支給時まで持ち越して、今は悩むまい!

子供たちにトマトと青じそのスパゲティ
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奥に見えるのが失敗したローストビーフ。。。

パンチェッタとホウレン草のフェトチーネ クリームソース
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その他、シーザーサラダ、タルトゥファータのオムレツ、エビと空豆のコンソメゼリー寄せ、「並べただけ」の生ハムとチーズ、等々、写真を撮りそびれたテーブル満載の料理を囲んで、大人12人、幼児3人、赤ちゃん1人が集いました。

楽しかったけれど、もっと楽しめたはずだったのに。試験直前でさえなかったら(泣)。
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by hemp-vermilion | 2009-07-26 20:36 | おいしいもの

野暮なカラス

粋なカラスは夜明けには鳴かないらしいですが、我が家の近所のカラスはまだ「深夜」と言えるような時間帯から鳴き始めます。

今年もやってきましたこの時期、期末試験、レポート、その他課題のオンパレード。少し前まで余裕があった仕事も、何故か急に立て込んでくる。あぁ、デジャヴュ。

毎晩、遅くまで夜更かしし、時間を忘れて励んでいると、突然、「カァーーッ」とカラスが鳴きます。「もう朝になっちゃった!?」と時計を見ると、まだ2時過ぎだったりするのです。まったくもう、紛らわしいったら。

三千世界のカラスを殺したところでダンナ様と朝寝ができるわけでもありませんが、あと1週間あまりの試験期間を乗り切ったら、有休とって朝寝どころか一日中寝倒してやる!

さて、ユンケルを箱買いして、鰻を食べて、もつ鍋を注文して。何とか乗り切るぞ!!
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by hemp-vermilion | 2009-07-24 12:51 | 日常

PATOLISデータベースの独自性

今月17日付けのアナウンスで、PATOLISデータベースのベンダでありプロデューサでもある(株)パトリスが民事再生手続きを開始したことを知りました。最初は驚きましたが、実のところ、5分後にはその驚きは去って、妙に納得してしまいました。

競合データベースプロデューサが増加して競争が激しくなったら、私が以前このblogで経費削減法として紹介したように他の低料金のデータベースを併用したり、ユーザが移行してしまったりして、PATOLISの利用が相対的にも絶対的にも減って、パトリスには厳しいのではないかと思っていたのです。

一昔前まではPATOLISでなければできなかったような検索が、今は色々なデータベースで可能となっています。新規参入してきた民間の商用データベースはもちろん、最近は、特許電子図書館IPDLでも公報全文検索ができるようになりましたし。

これら新規参入データベースは、PATOLISと料金体系を異にしています。PATOLISは完全に従量制で、しかも「検索語料」というものがかかります。出願番号をひとつ入力するだけで35円、キーワードひとつ入力するだけで45円、しかも出力料金は別、となると、マトモに検索して抄録を出力すると1回のセッションで数千円から数万円、かかってしまうこともあります。集合や式の保存にも料金がかかりますし。

検索漏れを予防するため、思いつく限りのキーワードを入力しますから、この料金制度は実は痛いのです。かといってワイルドカードを使うとノイズが増えますし。でも、定額制や、定額制と従量制の組合せだと、そんなことはさほど気にしなくて済みます。となれば、どちらをユーザが選択するかは、一目瞭然です。

PATOLISはどうして検索料金が高いのか?それは、データの一部を自前で作成しているからです。新規参入してきたデータベースはほとんどが特許庁が販売している整理標準化データを用いていますが、PATOLISは公報に掲載されている要約の他に自前の抄録を収録しています。

どうして、わざわざ抄録を自前で作成・収録するのか?

公報に掲載されている要約は、基本的に出願人が作成しています。字数の限られた要約では、どうしても発明の最も特徴的な部分について字数を割いてしまいがちです。要約は、それが全文を出力・精読すべき文献かどうかを判断する1次スクリーニングに用いますから、できるだけ広い視野で書いてある方がサーチャーにとって好ましいもの。パトリスは公報全体を精読した上で、従来技術や実施例にも配慮した客観的な抄録を作成することで、サーチャーのニーズに応えてくれているわけです。

しかし、全文検索や全文出力が簡単に低料金でできるようになると、自然とパトリス抄録に頼る程度は少なくなります。パトリス抄録を使わない検索なら、抄録作成コストが反映された高料金のPATOLISでなくても低料金のデータベースで充分なのです。

パトリスは最近料金の値下げ(や値下げキャンペーン)を相次いで行ってきましたが、正直なところ、すでに他のデータベースを使い慣れてしまったユーザが、多少料金が下がったくらいで戻ってくるかどうかは疑問です。PATOLISデータベースには他データベースとの根本的な差別化が必要であるように思われます。

実のところ、PATOLISデータベースには、他のデータベースにはない独自の検索キーや分類、機能がたくさんあります。このあたりを強化して、コアでマニアックな(=プロフェッショナルな)サーチャー向けの高級(機能等が)データベースになることができれば、充分、他データベースと競争可能だと思うのです。それに、どれほど全文検索が普及しようとも、レコードが公報ベースでなく出願ベースであるPATOLISには、レコードの重複除去等において大きな利点があると思います。

最近、特許情報の可視化、パテントマップ作成ソフト、報告書自動作成ツールなどを具備したデータベースというものもありますが、PATOLISは、サーチャー自身が文献を読んで分析して作成するようなパテントマップ作りに威力を発揮するもの。無闇に価格やGUIで競争をしなくても、「アナタでなくてはダメなのよ…」というものがPATOLISにはあります。

私が嬉しく思ったことには、最近になってパトリスはそのウェブサイトに「PATOLISってどこが良いの?PATOLISの特長」「PATOLISの50の小技」といったページを設置して、PATOLISならではのマニアックなユニークな検索テクニックを紹介するようになりました。これでPATOLISが再評価されて、サーチャーにもパトリスにも良い結果になることを切に願っています。
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by hemp-vermilion | 2009-07-21 22:51 | 特許サーチ

庭造りもどき

以前から、「いろいろ植えたい」というのが我が家の希望でした。私は樹木やハーブ類を、ダンナ様はお花や野菜を。ですが、今年も時機を逸して、夏野菜の苗を植えることができませんでした。

3連休ということでいつもより多少余裕のできた今日、「サカタのタネ」にでかけて、庭造りの相談をしました。

以前、スペイン料理屋さんの店前に、大きな素焼きの鉢の中央にオリーブの木が植えられ、周りに様々なハーブが寄せ植えされているのをみて、「あのようなものをうちにも置きたい」と思っていたのですが、たまたま、店先のオリーブの苗に「5割引」シールが貼られていたのをみて、俄然、夢を実現する気になりました。

お店のアドバイザーの方に相談すると、あまりたくさんオリーブの周りに寄せ植えをすると、酸素がオリーブの根に届きにくくなり、好ましくないとのことでしたので、とりあえずタイムと、這性のローズマリーを植えました。

そのほか、台所で使いかけハーブを水に挿していたものや、根が出て水苔にくるんでいたものも、土に移して外に出しました。

梅雨明けから急に気温が上がったのと、窓際で直射日光にあててしまったのとで、少し葉が白ちゃけて元気がなくなっていたのですが、持ちこたえてくれるといいなぁと思います。

全員勢揃いさせたところが、こちら。
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オリーブはまだ「ひょろひょろ」の若木ですが、これから太く育てていきたいと思います。
ハーブも、もっともっと増やしたい。

上手く育てるためにはまず、ダンナ様とのコミュニケーション量を増やさなければ。お互い、「相手がやっただろう」と水やりをしないで萎れさせたり、水やりをすると相手もした直後で乾燥を好む植物をダメにしてしまったり、といった前科が、過去に。。。

自信が付いたら、ブルーベリーやレッドカラント、グーズベリー、フランボワーズ、クランベリー等々、植えてみたいです。自家製「ベリータルト」を作れるようになるのが夢。そして、これまた自家製ハーブティなんて飲めるようになったら、もういうことありません。目標を見据えて、頑張るぞ!
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by hemp-vermilion | 2009-07-20 21:27 | 日常

特許分類付与基準

以前、調査で拾われたノイズ公報2件:

公報A)
【公開番号】特開2003-200898
【発明の名称】航空機墜落防止方法、ならびに、航空機用パラシュート、ならびに、飛行機ハイジャック激突テロ防止システム、ならびに、コンデンサ、ならびに、真空生成方法、ならびに、ヘッドマウントディスプレイシステム、ならびに、鏡、ならびに、テフロン(R)加工食器、ならびに、磁気テープデバイスアクセス高速化方法、ならびに、光ファイバー、ならびに、光通信システム、ならびに、個人情報送信システム、ならびに、伸縮補助定規付きハンディスキャナーシステム、ならびに、微細加工方法、ならびに、微細加工装置、ならびに、姿勢制御方法、ならびに、プロジェクションテレビ、ならびに、電子レンジ、ならびに、コンパクト無人ATM設置方法、ならびに、
【国際特許分類第7版】
B64D 17/00
【FI】
B64D 17/00


公報B)
【公開番号】特開2003-228017
【発明の名称】ヘッドマウントディスプレイシステム、ならびに、フェイスマウントディスプレイシステム、ならびに、立体映像表示システム、ならびに、中が真空である容器を生成する機器、ならびに、中が真空である容器の生成方法、ならびに、微細加工方法、ならびに、微細加工装置、ならびに、光ファイバー、ならびに、光通信システム、ならびに、揚水装置、ならびに、揚水方法、ならびに、踏み切りカウンターシステム、ならびに、ホルムアルデヒド除去器、ならびに、コンピュータ用CDドライブシステム、ならびに、映像を映写する時に用いるスクリーン、ならびに、プロジェクションテレビ、ならびに、映写システム、ならびに、映写方法、ならびに、USBオーディオシステム、ならびに、遺伝子異常に由来する病気と疾患の治療方法、ならびに、遺伝子異常に由来する病気と疾患の治療装置、ならびに、宇宙用ロケット制御方法、ならびに、宇宙用ロケット制御装置、ならびに、微細立体構造物製造方法、ならびに、病気治療用ロボット。
【国際特許分類第7版】
G02B 27/02, G02B 27/22, H04N 5/64 511
【FI】
G02B 27/02 Z, G02B 27/22, H04N 5/64 511 A


公報Aの方は、発明の名称が尻切れトンボですが、引用ミスではありません。本当にこのような名称なのです。もっとも、公報には所定欄に記載しきれなくて、どちらも途中で途切れてしまっています。フロントページの情報が多すぎて記載しきれない場合、最終ページに「フロントページの続き」というのが記載されますが、そういったケースというのは発明者や出願人が大人数に上るとか、代理人が大勢だとか、分類がたくさん付与されているためなのであって、この公報のように長大な発明の名称が最終ページにまわされているのなんて、初めて見ました。

それにしても、とても盛りだくさんのタイトルですね。請求項の数を見ると、公報Aが96個、公報Bが54個で、公報のページ数は公報Aが29ページ、公報Bが18ページです。です。請求項数はさすがですが、その割に明細書は長くはないようです。

もし審査請求されたら、間違いなく37条(発明の単一性)で拒絶されそうな気がしますが、それよりも私の興味をひいたのは、特許分類です。盛りだくさんな割に、少ない分類しか付与されていません。これはどういうことなのでしょう?もしかして、盛りだくさんなのは発明の名称だけで、明細書には偏りがあって、詳細に記載された発明と、クレームだけされた発明とがあったりするのかしら?

公報Aを見ると、付与されている分類は
  B64D17/00 パラシュート
で、これは発明の名称の「航空機墜落防止方法、ならびに、航空機用パラシュート、ならびに、飛行機ハイジャック激突テロ防止システム」くらいまでを1グループとすれば確かに全明細書中でのこの分野の比重は大きくなりますが、他の発明と比較してより詳細に説明されているわけでもありません。

公報Bに付与されている分類は
  G02B27/02 ・観察または読取装置 < 光学装置
  G02B27/22 ・立体視または他の3次元効果を生ずるもの
  H04N5/64 511 ・・・小型TV(ポ-タブル) < 受信機の構造の細部
  H04N5/64 511 A ヘツドビユア-(Head viewer)型TV
で、公報A同様、この技術分野だけを注目する理由はよく分かりません。

万万が一、その他の発明に関する記載が、特許法上の発明の定義に当てはまらなかったり、実施可能要件を満たしていなかったり、記載不備だったりするとしても、ではこれらの公報が先行技術文献として有効でないかといえば、実は私はそうは思いません。なぜならば、その文献に少なくとも「出願当時のニーズ・ウォンツ」「課題解決願望」が記載されている以上、他の文献との組み合わせによって進歩性を否定する論理づけの根拠となり得ると考えるからです。

(この文献にしか書かれていないニーズや課題解決願望なんてないだろうからサーチで拾われなくても実害はないよ、と言われてしまえばそれまでなのですが。。。)

「分類不能」という扱いならまだしも納得しやすいけれど、この中途半端(?)な付与の仕方は、うーん、IPCCの分類付与技術者さんは、どういう判断でこの分類を付与したのでしょう?興味津々です。

「分類不能」に分類された公報に「特表2005-507228:フィールドコンバータ」がありますが、WO公報や他の外国ファミリーにはちゃんと「H02N1/00; H02N11/00; H02N1/00」等のIPCが付与されていて、EP公報にはECLA、USにはUSclass.も付与されていますし、(国によって特許要件が違うとはいえ)登録になった国もあるのです。なぜ日本だけが…ますます不思議。

こうなってくると、分類付与の基準というものを明確に知りたくなってくるのですが、いわゆる分類付与マニュアルは一般に公開されておらず、IPCC門外不出のようです。審査基準や審査便覧のように、特許庁で公開してくれればいいのになぁ。あー、IPCCに潜り込んでみたいっ!

*-*-*-*-*
おまけ
*-*-*-*-*

HYPAT-iによれば、現時点で「分類不能」に分類された公報は、
2008年で18件、2007年で23件、2006年で29件、2005年で33件
です。

分類検索は網羅的だと思われがちですが、これらの公報が漏れるという意味では、完璧ではありません。もちろん、「『分類不能』に分類された公報なんて、大した内容を開示しているはずがないから、漏れちゃってもいいのだ」というアプローチは、有りだと思います。私は…無効化資料調査だったら、念のため拾ってきたい思います。ノイズはちょっと増えるかもしれませんが、調査漏れに比べたら大した害にもならなかろうというのが理由です。
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by hemp-vermilion | 2009-07-17 17:42 | 知財いろいろ

中国と韓国と日本

最近、立て続けにヨーロッパのクライアントから「中国や韓国の調査はできるのか」といった問い合わせを受けました。同様の質問は今までも何度かありましたが、こうも立て続けになってくると、中国・韓国が重要視されるようになってきたのだと改めて感じさせられます。

さて、問題の質問。YesかNoかといえば、もちろんYesです。韓国を例にとると、まず無料のデータベースでは、韓国特許情報院KIPRISのデータベース、欧州特許庁のEspacenet等がありますし、商用データベースでもWPI、INPADOC、KoreaPat、WIPS、等々があります。そして、これらは英語や日本語での検索が可能なのです。以前は、英語版・日本語版のデータベースは、韓国語版に比べるとタイムラグ等において不利な面もありましたが、今ではそれほど大きな違いも無く使えます。

ですが、
外国人が英語でINPADOC、IPDLの英語版、PAJ、Patolis-e等を用いて検索する
のと、
日本人がPatolisで検索する
のとでは、調査の質に歴然たる違いが出るであろうことは、一目瞭然です。もし日本語のできる外国人がPatolisを使って検索するとしても、類義語・同義語・異表記等まで網羅して検索するのは、かなり難しいと言えます。

「できますか?」と聞かれれば「できますよ」と答えますが、いろいろな要因を考えればやはり、現地の調査会社に依頼するのが一番だ、ということを強調します。自分達のできる範囲を明確に示して、最後はクライアントの予算、納期、特許戦略における重要度によって判断してもらうことになります。

ところで。

このような質問が相次ぐようになった背景にはもちろん、中国・韓国が重要性を増してきたことがありますが、実のところ、ちょっと穿った見方で、「ひょっとしてヨーロッパの人は日本語も韓国語も中国語も漢字でいっぺんに検索できるなんて思っていない?」なんていう気もしてきてしまいます。

アメリカの田舎では未だに「Japan is in(toでなくて)the east of China.」だと思っている人がいるらしいとか聞きますし、学生時代ホームステイさせてもらっていた家族ですら、日本といえば「スキヤキとゲイシャ・ガール」だという認識でしたし。アメリカの新聞で韓国の民族衣装を「韓国のキモノ」と紹介されて在米韓国人が訂正を要求したなんてこともありましたし。

日本に何十年も住んでいるイギリス出身のプルーフリーダーすら、「日本も韓国も中国も同じだよ。漢字使っているし、見た目も区別つかないし」なんて言っていました。「全然違うよ!」と反論すると、「じゃあ、日本人はイギリス人とフランス人とドイツ人の区別がつくの?」と言うので「見て区別はつかないかも知れないけれど、同じラテン文字でも言語の違いは分かるし、単語の重複がたくさんあるからってイギリス人ならフランス語もできるだろうなんて思わないよ」なんて、議論(?)めいたこともしましたっけ。

ただ、違うとはいえ、ある程度意味を推し量ることができたり、発音が似ていたりするのは事実です。

韓国ドラマを字幕で観ていると、字幕翻訳が台詞に正直なのか、あるいは意訳するほど2つの言語に距離がないのか、特に熟語などは発音が似ていて、「『約束』は韓国語でこんな発音で読むのか(実際にはハングルですが)」というのが面白いように分かります。

「王」を「ワン」と発音するのは中国と同じだ、そういえば日本語でも昔は「わう」だったっけ、などという、小さな発見に面白さを見出すのがすっかり楽しくなりました。または、王妃のことを「中宮」と表したり、王太子のことを「東宮」と表したり。(←つまり、李氏朝鮮時代の宮廷ドラマを観ているわけですが(笑))

「へび(蛇)」は、音読みは「ジャ」なのに、韓国語でもそのまま「ヘビ」と発音されていたのも驚きでした。

日本語と韓国語がとても近い言語であることは知っていましたが、それがとても実感できて、ストーリーだけでない、ちょっと変わった楽しみ方ができます。

中国・韓国・日本、似て非なるこの3カ国について、この似て非なるところを、もっと世界各国にアピールしたい!と思う、今日この頃です。
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by hemp-vermilion | 2009-07-15 22:02 | 好奇心

家族の範囲

「ご家族は何人?」と聞かれたら、大抵の人は同居している家族を数え上げるのではないのでしょうか。3世代同居なら、子、親、祖父母が家族に含まれそうですが、いわゆる核家族の場合、祖父母を家族に含むかどうかは、意見が割れそうに思います。

一方で同居していなくても、「お姉ちゃんが地方で1人暮らし」なんていう場合は家族に含めたりしますし、自分が1人暮らしでも「家族は1人」なんてあまり言いませんし、どこまでを「家族」と呼ぶのか、その範囲は時として曖昧です。民族や文化によっても、きっと様々な定義があるに違いありません。

さて、知財特に特許にも「家族」があります。通常、日本語でも「ファミリー」と呼んでいます。「対応特許」や「外国対応出願」のように呼ばれることもあります。このファミリーあるいはパテントファミリーは一般的に、
特定の特許文献の優先権を仲立ちとして、
家族のようにお互いに関連する特許のグループ

と定義されます。

例えば、日本で特許出願Aがされた後、その特許出願Aを基礎として優先権主張を伴う米国出願Bがされた場合、AとBの関係をファミリーとか対応とか呼ぶのです。

しかし、です。中には優先権主張をしていなくても実質はファミリーだ、というものがあったりしますから要注意です。

例えば、発明イについて、日本への特許出願Aと米国への特許出願Bを同日に行った場合。米国出願について言えば、彼の国は先発明主義ですから、かならず優先権主張がされているとも限りません。また、現行の日本特許法では絶対新規性を採用していますが、過去にはそうでなかった時期もあること、さらに、パリ条約に加盟していない国もあること等も考慮しなくてはなりません。

逆に、優先権主張はしているけれど、実質は基礎出願からかなりかけ離れてしまっているものもあります。

例えば、発明イについて、日本で特許出願Aがされた後、その特許出願Aを基礎として優先権主張を伴う米国出願Bがされたとして、出願Bの係属中に一部継続出願Cがされ、さらにその一部継続出願Dがされた、というような場合です。出願Dには出願AにもBにもCにもない新規事項が含まれていますから、その内容は発明イとの関連性がとても薄くなっています。

従って、上記の定義は、「パテントファミリーって何?」という質問にひと言で回答するには充分かもしれませんが、サーチャーが調査をするにあたって必ずしも充分ではありません。また、パテントファミリーの定義はデータベースによって異なっていることも、サーチャーにとって充分でない理由となります。

ですから、「この特許のファミリーを調べて下さい」という極めて単純そうに見える依頼は、サーチャーにとっては実はかなり漠然とした依頼と受け取られるのです。

他の種類の特許調査と同様、ファミリー調査にも依頼の背景には様々な理由があります。例えば、

Case 1)
外内ケースで、拒絶理由の引例として引かれた公報をクライアントに示すため、外国の対応公報を探したい。
Case 2)
国内で販売したい製品が抵触しそうな特許が見つかったが、同製品は外国でも販売する予定なので、この特許に係る発明の海外への出願状況を把握したい。

のような例を想定すると、Case 1)では「一応ファミリーのグループには入っているけれど、実態は家族というよりは遠い親戚」のようなものは望ましくありませんし、Case 2)では逆に「少しでも血を引いているなら検討対象にしないとまずい」と言えます。

単に「ファミリー」と言っても、依頼者の定義とサーチャーの定義が異なると、良い結果は出せない、というわけです。

ファミリー調査とは、決してデータベースに番号を入力→所定の形式で出力、というだけの単純な調査ではなく、依頼者の目的・意図を正確に把握し、それによってデータベースや検索方法を使い分けるという、それなりにスキルの要る調査なのです。
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by hemp-vermilion | 2009-07-10 20:21 | 特許サーチ

体調管理

今年のこの時期は何故か調子がいまひとつ。自分の体調もあまり良くはありませんし、何より娘が何かと病気をしがちです。今年度分の看護休暇は早くも使い切りました。

自分の体調不良の原因は、ずばり「梅雨」、というか、「低気圧」です。これが近づいてくると、頭痛が起きやすいのです、なぜか。今年は梅雨にしては雨が少ないようで、朝から晩まで降るということもなく、せっかく購入したレインブーツも出番がないまま(これも今年購入したレインシューズは出ずっぱり)、むなしく玄関に立ちつくしています。例え雨は降らずとも時期は梅雨ということなのか、あるいは雨が少ないせいなのか、今年はやけに頭痛の頻度が高い気がします。

娘も、手足口病が治ったと思ったら夏風邪を引き、これが傍で見ているだけでも辛くなるような見事な風邪引きっぷりです。熱、鼻水、咳、痰、食欲不振。今日は腹痛は治まったようですが、日曜の夜には夜中じゅう断続的に「おなかがいたい」と訴え続け、夜間救急に連れて行くかどうかという程でした。

昼間は熱も下がって元気そうだった娘も、夜になるとまた熱が上がり、咳や痰も出て、苦しそうな息づかいをします。乱れた呼吸と、痰が絡んだような咳とが聞こえてくると、親としては疲れていてもやはりなかなか寝付けません。

こんな時には「ミルクチャイ」が効果的。私の愛飲は生協で購入したチャイスパイスティーで、セイロン紅茶にシナモン、カルダモン、クローブ、ナツメグ、ペッパーの6種類のスパイスがブレンドされています。ミルクパンで牛乳を沸かしながら煮出して飲むと、これがかなりのリラックス効果をもたらしてくれます。寝付きの悪いときの、私の特効薬です。

さぁて、もう2杯も飲んだところですし、そろそろ布団に戻りますか。
明日には良くなりますように。
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by hemp-vermilion | 2009-07-07 02:54 | わたくしごと(?)

自分用メモ

サーチャーとして10年近くも仕事をしていれば、仕事上「こんな資料やツールがあったらなぁ」という場面に何度か出くわし、そのうちのいくつかは「自分で作っちゃえ」と作ってしまったものもあります。

検索環境が変化して、作ったけれども今では役に立たないというものも実はけっこうあったりしますが、今でも使える資料はサーチエイドとして公開しても良いのではないかと思い、どのようにするか考えていました。どこかウェブ上にスペースを設けようか、でももうHTMLのタグ打ちなんてほとんど忘れてしまったし、と悩んでいた矢先、「googleサイト」というサービスを見つけました。

googleのアカウントは持っていたので、早速試してみよう!と思い立ち、まずはコンテンツをお手入れ。近々社内で勉強会をすることになっている「アジア特許検索」について、以前作成したいたメモのような資料を掘り起こし、少し手入れをして体裁を整え、いざ、ウェブサイト作成!

おぉ…自分のメモ帳をシンプルにアップするなら、これで充分です。シンプルだから操作しやすくできています。HTMLのタグを知らなくてもワープロソフトのような操作感でウェブページができますし、知っていれば直接HTMLベースで編集して、小回りのきいたデザインを作成することもできます。

googleにはベータ版ながらgoogle docsというドキュメント作成のツールもあって、PCにオフィスソフトがインストールされていなくてもインターネットに接続すればドキュメントが作成できて、共有したり公開したりもできます。作成したドキュメントはテキスト形式、リッチテキスト形式、MS-Word形式、OpenOffice形式のほか、HTML形式でも保存・ダウンロードができるので、ここで作成してもいいですね。

しかし…googleって、ちょっとしたグループウェア並みの機能を提供してくれていますね。初期投資費用がなくても起業する勇気が湧いてきそうな。

話を戻して、googleサイトです。

「今でも使える」とはいえ、公開するからには資料に多少の手入れも必要なので少しずつ、少しずつのアップになります。次はいつのことになるやら、といった状況ですが、予告編としては…そうですね。お決まりながらブックマーク(つまりリンク集)とか。お決まりながらも、独自の視点(?)でまとめたものができあがればと考えています。それから、データベースの出力ログをテキスト処理するPerlのコードなども提供できればよいなと思っています(これこそ本当にいつのことになるやら。)。

http://sites.google.com/site/hempvermilion/
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by hemp-vermilion | 2009-07-03 23:43 | 特許サーチ