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弁理士の日企画:10年後にどうなっているか?

今年もドクガク様の「弁理士の日」企画に乗ってみました。

ありがたいことに新職場に入社早々調査案件を複数抱えて忙しくしていて、今年こそは参加は無理かなーと思っていたのですが、持ち帰っていた仕事を放り出して急遽参加することにしました(昨年はツワリでしたし…)。いえね、簡単な予備検索をしようと思いましてね。IPDLはメンテナンスでサービス停止していても私にはPATOLISがある!と思いきや、PATOLISまでサーバ(サーチガイドの)が落ちていたので断念した次第です。FIを参照したかったんですけれども…いくら無料でもreferenceコマンドを使う気にまではなれません…。

さて、今年のお題は「10年後にどうなっているか?」だそうです。10年とは、長いようで短いものです。10年前、私は調査歴2年の新人サーチャーでした。その頃の特許調査環境に比べると現在のそれは激変しています。今後10年でさらに色々と変わっていくことだろうと思います。

10年後の知財業界はどうなっているだろうか、特許法はどのように改正されているだろうか、というようなことは他のブロガー様方にお任せして、私はやはりサーチャーの立場から10年後を想像してみたいと思います。どんなデータベースが提供されているか、どのデータベースもGUIばかりでコマンドで検索なんて消えてしまっているだろうか、収録されるデータの種類はどこまで増えているだろうか、収録対象国は…

とはいえ、実のところ、私が気にしている10年後は、これらに関してではないのです。

それこそ10年前、新人だった私に当時の上司は言いました。
「日本には『防衛出願』っていうのがあってね、これは制度じゃなくて、つまり企業が、自分が権利化して独占しようとは思わないけど他者に権利化されて独占されたら困るというような発明を出願したりするのね。先願の地位を得たり、公報発行によって公知になったりすることを目的にね。」
「日本には出願公開制度があるから、出願すれば取り下げない限り公開公報が発行される。アメリカは公開制度がないから(注:当時)出願されたものが全て公開されるわけではないし、審査請求制度もないからそもそも出願する発明は権利化目的のものに絞り込まれる。ということは、データベースに収録される特許文献の数ということで見れば、日本は膨大なデータを持っているんだよ。」
「だから、先行技術調査をするときは、日本の特許文献を調査すれば、他国の特許文献を調査するより欲しいものが見つかる可能性が高いんだよ。どうしても無効化したい権利があれば、まず自国の特許文献の中から先行技術調査をして、見つからなかったら次は日本の特許文献を調べてみようということになるわけ。」
「日英の自動翻訳は精度が低いし、日本語の文献は彼らにとっては非常にアクセスしにくいものだから、そういう調査は自分たちで調査するのでなくて日本の調査会社に依頼しようとする。外国のクライアントは我々にとって非常に重要なんだよ。」

この言葉は、当時の私には確かにうなずけるものでした。上司の言うことは、まったくその通りだと思いました。

ですが、この10年で状況は変わりました。アメリカに出願公開制度ができました。日本国特許庁への特許出願件数は減少傾向にあり、翻って韓国や中国の出願件数は増加し、特に中国は飛躍的増加傾向にあります。今後10年の間に起こるかどうかはわかりませんが、いつか中国の特許文献データベースの収録件数が日本の収録件数を追い抜く可能性は大いにあります。

先日、STNがCNFULLデータベース(中国特許の英語翻訳全文データベース)のリリースを発表しました。中国特許を英文で検索できるデータベースとしては数年前からDialogにもChinese Patents Fulltextがあります。競合するので、どちらもどんどんサービスが充実していくに違いありません。しかもSTNは今後JPFULLという日本特許の英語翻訳全文データベースもリリースする予定なのだそうです。

つまり、公知例としての日本特許文献の価値がだんだん落ちていくというだけに留まらず、外国人が日本特許を検索しようと思ったら、ある程度までは自分たちでできるようになるということです。日本に特許調査を依頼すれば、韓国も中国もいっぺんに調べてくれるんだろう?という外国クライアントが一定数いるという話を以前にしたことがありますが、これも、現地に頼まなくても自分たちでできるようになります。今後もし日本が市場として魅力的でなくなれば、侵害予防調査(freedom-to-operate search)すら不要となるかもしれません。

ということは、今から10年後には、外国のクライアントによる日本特許調査依頼は間違いなく減っていることでしょう。分け合うパイは小さくなるということです。それでもゼロになるということは無いでしょうから、いかにして選ばれるサーチャー(調査会社)になるべきか、ということが非常に大事になってくると思われます。

10年後、娘は16歳。彼氏のひとりもできているかなぁ。息子は10歳、やんちゃ盛りだろうか。

ご参考までに…
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by hemp-vermilion | 2012-07-01 17:17 | 特許サーチ