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とりとめもなく考えた称号のこと

昨日、「タイ国王、人工降雨で特許」という見出しをパテントサロンで見かけて、早速リンク先に飛んでいきました。記事を一部引用すると、

タイのプミポン国王が開発した人工降雨技術がフランスなど欧州10カ国で特許を取得し、21日、タイ研究評議会の代表から国王に特許証書が進呈された。

(日本語総合情報サイト@タイランド より)


単純に「へぇー」と思って、その特許を特定しようとしたのですが、はて、どうやって検索しようか、としばし考えて、

・「フランスなど欧州10カ国」ということは、審査機関が欧州特許庁なのか、
 各国特許庁なのか不明。
 どの言語で発行されているかも不明。(→グローバルな検索が必要?)
・英抄を対象にグローバルな検索をしようとしても、「人工降雨」は
 artificial rain/rainfall/precipitation、rain-making等、
 様々な表現がある。(→網羅性を高くしようとすると検索式が複雑に…)

という事情を考慮し、お決まりですがesp@cenetを使って、発明者名としてタイ国王の名である「Bhumibol」を入力してみることにしました。ちなみに、タイ国王のフルネーム(?)は「Bhumibol Adulyadej」で、日本では「プミポン国王」または「ラーマ9世」と呼ばれることが多いのですが、Wikipediaによれば

本来はタイ語においては(称号なども含めて)後ろのアドゥンラヤデートと不可分一体であり、プーミポンだけで呼ばれることはほとんどない。なおプーミポンアドゥンラヤデートとは「大地の力・並ぶ事なき権威」という意味である。

とのこと。ですが、出願時にどのようになっているか全く予想できなかったので、「Bhumibol」のみ入力することにしたのです。それに、「Bhumibol」という名が、そう一般的な名ということはなかろうと思われましたし。

そして、データベースはesp@enetで。他にも無料でグローバルな検索ができるデータベースもありますが、大した検索でもないのにデータベース選択でそれほど悩んでも仕方がないので、とりあえず安直に。

というわけで、いざ、検索。すると、ヒットは香港HKとドイツDEの2件。この2件ファミリーのようで、他に6件のファミリーがあるようなのですが、出願は2003年で、EPの審査済み公報も2005年の発行でした。とすると、今回特許になった出願とは違うということですね。発明の名称に「royal rainmaking technology」という単語が含まれていましたので、人工降雨に関する発明には違いないようです。しかし、royalなtechnologyって、何だか気合いが入っているように感じるのは私だけでしょうか?(笑)

何故「発明者=Bhumibol」でヒットしなかったか…検証しようと思ったのですが、それよりも目を引いたのが、発明者と出願人の表記です。各国によって多少の違いはありますが、EPの書誌事項を見ると、発明者および出願人は
「HIS MAJESTY KING BHUMIBOL」
…称号つきですか!!
公報のフロントページにはもっときちんと、
「His Majesty King Bhumibol Adulyadej of Thailand」
と記載されています。すごい…なにがどうすごいのかは別として、つい、そんな感想を抱いてしまいました。

と、そこでムクムクとわき上がる好奇心。他にも、称号付きの発明者って、いるのかしら?

というわけで、引き続きesp@enetで検索してみることにしました。すると、発明者に「his majesty」を含むものが、なんと157件もヒットするじゃありませんか!最初の30件をリストにして眺めてみると、最初の2件のプミポン国王以外は、全てカナダの公報でした。しかもいきなり1965年発行という古さ。書誌事項データが満足にありません。

ひとまず置いておいて、次に「her majesty」で検索すると、こちらは4件。この4件は出願人がUNITED KINGDOM GOVERNMENT [GB]、UNITED KINGDOM GOVERNMENT、UNITED KINGDOM GOVERNMENT [CA]、POST OFFICE [GB] と、全てイギリス連邦政府関係となっています。

ははぁ…何となく見えてきました。

1件目のアイルランド公報のファミリーであるEP公報(=WO公報)について見てみると、フロントページに記載の発明者名はELLIS, Anthony, Ewartで称号はありませんが、出願人欄を見ると「The Seretary Of State For Scotland In Her Britannic Majesty's Government Of The United Kingdom Of Great Britain And Northern Ireland」。



2件目のスペイン公報を見てみるとHer Majesty the Queen in right of Canada as represented by the Minister of National Defence of Her Majesty's Canadian Governm.」。


……
………

なんだかもう、お腹がいっぱいになってきました。「his/her highness」「most noble」「right honorable」なんていうのも検索してみようかと思っていましたが、正直なところ、どうでもよくなってきてしまいました…

日本の天皇陛下も魚類の研究などで素晴らしい成果を上げていらっしゃるそうですが、発明を特許出願するような研究ではありません。将来、皇族の方が発明を出願するようなことがあったら、やっぱり称号つきなのかしら。職務発明(?)なら出願人は組織でしょうけれど、もし、個人で出願する場合は?憲法88条によれば、皇室財産は国に属するということになっているので、財産権としての特許権も国のもの、ということになるのかしら?

なんて、どうでもイイと言えばどうでもいいようなことをとりとめもなく、考えてしまったのでした。
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by hemp-vermilion | 2009-08-24 22:07 | 好奇心

「年金たまご」の特許

週末は大学院で授業を受けた他は、買い出しに行ったり料理をしたりお客様をもてなしたりで、珍しくネットから遠ざかっていました。週があけて今日、知財系のニュースを読んでびっくり:「年金たまご」で特許出願

以下、NHKのサイトの記事から一部引用すると、7月24日付けで、

「年金たまご」と名付けた独自のシステムで不正に資金を集めたとして捜索を受けた東京の会社が、年金たまごのシステムの特許を出願していたことが警視庁の調べでわかりました。特許は取得できていませんが、会員を集めるためのセミナーで「特許を取っている」と事実と異なる説明をしたこともあったということで、警視庁は特許を持ち出した宣伝をして参加者を信用させていたとみて調べています。

とのことです。同記事によると、「積立金の20倍近い金額をボーナスとして受け取れる」と説明していた「年金たまご」と名付けたシステムを、おととし8月に特許出願していたことが分かったのだそうで、特許を取得できてはいなかったが、会員を集めるためのセミナーで「特許を取っている」と事実と異なる説明をしていたのだそうです。「警視庁は、特許を持ち出した宣伝をすることで参加者を信用させ、数十億円の資金を集めていたとみて調べて(カギカッコ内同記事より引用)」いるとのこと。

とりあえず特許出願されていたことは確かそうなので、早速調べてみることにしました(試験前だというのに、どれだけ特許検索が好きなんでしょう、私。。。)。

ところが、出願人名を「ライフ・アップ」としても「田澤吉美(社長名)」としても、発明者を「田澤吉美」としても、ダメもとで発明の名称を「年金たまご」としてみても、IPDLでは見つかりませんでした。おととしの8月に出願しているなら、すでに公開されているはずです。もしかして、記事の記載が間違っているのかもしれないと思いました。知財系のニュースでは、公開公報が出ただけで「特許を取得」などと報道されることがあるなど、悲しいけれどよくあることです。

しかし!ここで「ありませんでした」などといっては、「特許サーチャー」の名が泣きます!もう少し粘ってみることにしました。記事中でハッキリと「出願はしたが権利取得はしていない」と言っているのだから、出願・公開・権利取得の混同はないとして、一昨年8月に出願されたのは事実だという前提に立つとすると、何故、ヒットしないのか?

理由を考えて、
1)出願人・発明者が会社名・社長名だという推測が間違っている。
 「年金たまご」のシステムを詳しく知らないと、他の検索アプローチ(特許分類、
 キーワード等)から見つけ出すのは難しい。
2)出願したのは事実だが、その後こっそり取り下げた。
 公開前に取り下げて、例え先願の地位が残らなくても一応「出願した」とは
 言える?
と、ここまできて、
3)「取下擬制」
ということを思いつきました。一昨年8月の出願なら、審査請求期限は未だですが、優先権主張をして新出願をしたのかも…と、考えついたのです。しかし、優先権主張を伴う新出願をしたとしても、公開基準日は基礎出願日です。それでも遅れるとすれば、あれしかありません、国際出願!

半信半疑ながら、espacenetでinventorとして「tazawa yoshimi」を入力するとヒットは5件。しかし、この中にはそれらしきタイトルがありません。「tasawa」と読むのか?「yosimi」なのか?と試してみたら、「tazawa yosimi」で1件ヒットしました!タイトルは「SYSTEM AND METHOD FOR DISTRIBUTING EARNINGS」。これだ!

Publication number: WO2009028115 (A1)
Publication date: 2009-03-05
Inventor(s): TAZAWA YOSIMI [JP]
Applicant(s): TAZAWA YOSIMI [JP]
Classification:
- international: G06Q30/00; G06Q30/00
- European:
Application number: WO2007JP73002 20071121
Priority number(s): JP20070246124 20070827

espacenetより引用)

なるほど、確かに基礎出願は一昨年の8月に出願されているようですね。日本語のWO公報で、サーチレポートにはY文献が2件記載されていました:
・特開2006-146686(有限会社ピュアコーポレーション)
・特開2005-259095(仲村善利、高橋正輝)

レビューしたいところですが、何しろ試験前なので、ここまでにしておくことにします。ご興味がある方は是非!
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by hemp-vermilion | 2009-07-27 22:43 | 好奇心

IPCの立場

少し前のことになりますが、購読している特許庁の情報配信で、「IPC簡略化の合意」というものについて知りました。特許庁のアナウンスによれば、
・IPC第8版より採用されたコア・レベルとアドバンスト・レベルとの区別が
 2011年1月から廃止に。
・2011年1月以降は、現在のアドバンスト・レベルがIPCの基本となる 。
・IPC改正は、年1回1月1日に発効される。ただし、今後年2回とすることも含め、
 発効周期について検討を続ける。
とのこと。(ソース:http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/s_sonota/ipc_kanryaku.htm

結局…2006年の、あのリフォームはなんだったのでしょうか。

サーチャーにとって、特許分類というのは欠かすことのできないツールです。リフォームを前にして、2005年は、多少の混乱を避け得ませんでした。特に、過去の特許文献についてもリフォーム後のIPCが再付与されることや、コア・レベルとアドバンスト・レベルの二分化、レベルによる改定時期の違い等は、調査の手法に直接関係するだけに、データベースベンダーがどう対応するのか、調査手法をどのように対応させるべきか、情報を収集し、勉強会を行い、…産休を控えてドタバタしたのを思い出します。

IPC7版までと8版の違いは、大雑把に言えば、
1)コア・レベルとアドバンスト・レベルの二分化
2)大規模庁はアドバンスト・レベルを付与、中小規模庁はコア・レベルを付与
3)5年毎だった改定を、アドバンスト・レベルは3ヶ月毎に(コア・レベルは3年毎)
ということで、背景には
・大規模庁は細分化された分類を必要とするが、中小規模庁には分かりやすい分類が
 適している。
・技術進歩の高速化に柔軟に対応可能にする必要性がある。
という事情があるとされていました。

つまり、出願件数の多い大規模庁(WIPOと3極)にとっては、ひとつの分類があまりにも多くの文献に付与されることとなり、審査のためのサーチに支障を来していました。例えば、A01G1/00(園芸;野菜の栽培)という特許分類が付与されている文献は、日本の公開公報では今日現在約11600件もあります。下位階層には1/02(アスパラガスの栽培)、1/04(きのこ栽培)、1/06(接木)、1/08(花壇,芝生または類似のものの縁どり)、1/12(芝栽培用具;芝生清掃用具;ガーデンローラー)等がありますが、これだけでは不十分です。苺の栽培について調査しようと思ったら、最新版のIPCでは適切な分類が用意されていないため、キーワード等に頼る比率が大きくなります。

公告制度も異議申立制度もない今、排他的独占権という強大な権利を与えるか否かを審査する審査官が行うべき調査は、網羅性(再現率)が高くなければなりません。検索漏れの許されない調査です。念のために言うと、検索自体は適合率が高くなるように行いますが、徐々に検索範囲を広げ、最終的には網羅性が高くなるようにします。

話が少し横道にそれますが、一般に検索で網羅性(再現率)を高く、つまり該当レコードを漏れなく拾おうとする場合、キーワードの使用はなるべく避けるのが定石です。以前にも何度か触れたことがありますが、概念とそれを表す言葉とが必ずしも1対1で対応するものでなく、1対多であることが普通である以上、とても全てをカバーすることなど不可能です。よって、調査を網羅的に行う必要がある場合には、分類を重視します。

従って、ひとつの分類が多すぎる文献に付与されるという事態は、審査官にとって(そして職業サーチャーにとっても)好ましいものではありません。

そこで、3極等の大規模庁は、IPCよりもさらに細かい分類体系を独自に持ち、審査のためのサーチにはこれらのドメスティックな分類を使用しています。欧州特許庁ならEuropean Classification(ECLA)、日本特許庁ならFile Index(FI)や File Forming Term(Fターム)、米国特許商標庁ならUS Classification(US-Class)といった具合です。

FIでは、A01G1/00,301H(いちごの栽培)という下位分類が用意されているので、これを使用すれば苺の栽培について、ある程度網羅的な調査が可能になります。この分類が付与された文献は約140件。スクリーニングが比較的容易にできる件数です。さらに下位としてA01G1/00,301J(花芽分化)という分類もあります。

一方、出願件数の少ない中小規模庁にとっては、やたらと細かい分類体系が用意されていてもどれをどれに付せればよいやら混乱を招きかねません。

というわけで、大規模庁と中小規模庁とでレベルを二分化することになった…らしいのですが。一国の特許情報のみを収録するデータベースはともかく、各国の特許情報を収録するデータベースにとっては、収録レコードにどのように分類情報を持たせるか、サーチャーはどのように分類検索をすれば意図した検索が実行できるか、かなり頭を悩ませる元となりました。サーチの便のために、リフォームしたはずだったのに。

サーチの便といえば、8版リフォームのもう一つの目的として、大規模庁はアドバンスト・レベルを用いることによって、3極が用いている独自分類(ECLA、FI、US-Class等)によらなくてもIPCのみで日欧米をカバーできるようにする、っていうのもあったはず。

でも、実際にはこれも逆効果でした。8版は何やらよく分からん、というので、肝心の特許庁が「FIを使った方が間違いありませんよ」なんて言うくらいで、データベースベンダーでさえ同様の言でした。確かに…FIは改定時期が不定期で、故にフレキシブルな運用ができている面もありますし、改定があれば遡及しての再付与もされますし、IPCよりよほど「使える」のです。

そして結局、レベルの二分化は廃止ですか。そうですか。
今回の「IPC簡略化の合意」は、「元の木阿弥」という感じがしますが、間違った方向のままズンズン進み続けるよりもよかったのです、きっと。

改定も、そんなに頻繁に変えられちゃ、却ってサーチャー泣かせってものです。

それに…改善というものはどんなものでもTry & Errorの繰り返しですしね、「ほーらやっぱり、言わんこっちゃない」なんて言ったところで何にもなりませんし。これからもっと良くなることを期待したいと思います。
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by hemp-vermilion | 2009-06-04 23:19 | 特許サーチ

医薬品と特許の問題

豚インフルエンザ関連で、韓国の特許に関するニュースを見つけました:
豚インフル治療薬、政府が「特許なし生産」許可か

一部を引用すると、
豚インフルエンザの急速拡散で抗ウイルス薬が円滑に供給されない場合には、政府が多国籍製薬会社の特許を無力化し国内で直接生産する可能性もある。
とのこと。この「無力化」というのは、
市民団体から特許権の強制実施に向けた法改正要があり、関連法規を検討したところ、特許庁長が強制実施権を発動すれば直ちに国内生産に入れるという結論が出たと説明した。その場合は、国内販売額の3%を特許権者の製薬会社に支払えばいいという。
ということらしい。(青字部分を上記リンク先記事より引用)

つまり、我が国特許法第93条の「公共の利益のための通常実施権の設定の裁定」に似たような制度なのですね。きっと。

韓国特許法については、ずっと昔に上司から「日本の特許法を踏襲しているからだいたい同じと思っていい」「最近は独自の改正を重ねて日本よりユーザー・フレンドリーな制度になりつつある」と聞いたことがあるだけで殆ど知識が無いのですが、日本ではまず実施許諾について協議を求めて(93条1項)、協議不成立の場合は経済産業大臣に裁定を請求し(同条2項)、裁定において実施権設定の範囲と対価等を定める(準86条2項)、ということになろうと思います。記事を読む限りでは、韓国の場合は、ライセンス料が一律国内販売額の3%と決められているのでしょうか。興味があります。

それにしても、医薬品の場合、特許の問題とともに、いや特許の問題以上にクリアしなければならないのが厚生労働省による承認の問題です。前回ご紹介した特許も、査定がどうなろうがライセンスをどうしようが、製造販売承認が取得できなければ期待されている実施はできません。すでに承認を受けている医薬ならば、特許の問題さえクリアすれば即、増産できるかもしれませんが、これから承認を受けるというのでは、とても即実施とはいきません。だからこそ、登録期間延長制度(67条の2等)があるわけですし。特許の早期審査みたいな制度が、医薬品の承認にもあるのかしら?

等々、気になることがまた色々と出てきて調べてみたいのですが、調べたいのはヤマヤマなのですが…今週の土曜日は意匠法の小テスト(私の理解では実質的に中間テスト)があるため、そちらの勉強に時間を割かねばならず、調べることは無理そうです(悲)。

去年、この科目をとった同期生からいろいろ話を聞かせてもらったので、これから一生懸命おさらいです!話を聞けて、ほんとうに助かりました。何故って、私がなんにもわかっていないということが分かったからです。すすめられた意匠法コンメンタールがなぜか学校の図書室に無い(!!)ので、本屋さんに行かなくちゃ。。。

昨年も、試験前日は仕事を休むことにしていたのですが、今は多忙で有休もとれません。とにかく、やれるだけのことはやるぞ!
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by hemp-vermilion | 2009-04-30 21:12 | 知財いろいろ

原簿についてアレコレ

豚インフルエンザに関するニュースが引きも切らない昨今。ヒトにもトリにもブタにも効くらしいインフルエンザ予防・治療薬が特許を取ったそうです。
ソース:「豚」にも効力か インフル消毒剤で特許 根路銘氏

早速調べてみたところ、恐らくコレです。公開公報がこちら:

特開2007-254319 インフルエンザ予防・治療剤

登録査定が出たばかりで、特許登録公報は未発行ですが、特許されたクレームは、恐らく補正後のコレです。

  【請求項1】
 センダンの抽出物を含有することを特徴とするインフルエンザ予防・
 治療剤であって、前記抽出物が分子量10000以下の成分のみを
 含有するものである、前記インフルエンザ予防・治療剤。
  【請求項2】
 センダンの抽出物が、センダンの葉、実、枝又樹皮の水性抽出物である
 請求項1記載のインフルエンザ予防・治療剤。

 
この分野のことは全く分からないのですが、本当に有効なら是非とも早期に実施してもらいたいと思いました。

ところが、別のニュース記事によると、すでに日米の製薬会社との事業提携も内定しているとのこと。

ん…?素直に読むと、特許としての権利化前からライセンスとかしているのでしょうか。そういえば今年の4月からは法改正で「仮通常実施権」「仮専用実施権」なるものができたのだっけ。これも実施権として登録されているのかなぁ?登録されているかどうかはどうやって調べるのだろう?

最近は専ら、私が担当する仕事は多量の文献の精読を要する無効化資料調査や侵害予防調査ですが、出願の法的状況を調べたり、ライセンス情報を調べたりするのも特許サーチャーの仕事です。当事者間の契約だけで、原簿に登録されていない実施許諾は調べようがありませんが、とにかくライセンスについて聞かれた場合は原簿を閲覧するのがルーチンワークとなっています。

原簿は、インターネット出願ソフトを使ってオンラインで請求・閲覧を行いますが、私の記憶によれば、特許登録番号でもって閲覧申請をした気が…特許登録前の仮実施権て、何の番号で閲覧申請するんだ?そもそも、原簿は原簿でも違う原簿なんじゃ!?

いろいろと気になり出したら止まらないのが私の性分で、ちゃんと改正条文を読み直して少し調べてみました。

(特許原簿への登録)
第27条 次に掲げる事項は、特許庁に備える特許原簿に登録する。
1.特許権の設定、存続期間の延長、移転、信託による変更、消滅、回復又は
 処分の制限
2.専用実施権又は通常実施権の設定、保存、移転、変更、消滅又は処分の制限
3.特許権、専用実施権又は通常実施権を目的とする質権の設定、移転、変更、
 消滅又は処分の制限
4.仮専用実施権又は仮通常実施権の設定、保存、移転、変更、消滅又は処分の制限
2 特許原簿は、その全部又は一部を磁気テープ(これに準ずる方法により
  一定の事項を確実に記録して置くことができる物を含む。以下同じ。)
  をもつて調製することができる。
3 この法律に規定するもののほか、登録に関して必要な事項は、政令で定める。


となっているので、「原簿」に登録されることになっているのは間違いなさそう。
でも、「政令で定める」という政令つまり特許登録令をみると、

(特許原簿の範囲)
第9条 特許原簿は、特許登録原簿、特許仮実施権原簿、特許関係拒絶審決
再審請求原簿及び特許信託原簿とする。


とあるので、やっぱり普段閲覧しているあの原簿(?)とは違う種類(?)のものの
ようです。さらに、

(特許原簿の調製等)
第10条 特許登録原簿は、磁気テープをもつて調製し、その調製の方法は、
経済産業省令で定める。
2 特許仮実施権原簿、特許関係拒絶審決再審請求原簿及び特許信託原簿は、
  帳簿をもつて調製し、その様式及び記載の方法は、経済産業省令で定める。


とあるので、紙ベースなのでしょう。オンラインでは閲覧できないのですね。
経済産業省令というのは、特許登録令施行規則のことでしょう。

googleでも調べてみたら、やはりオンライン閲覧はできず、しかも、請求の翌日以降でないと閲覧できないらしいことが分かりました。
ソース:http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/touroku/karijishiken_etsuran_qa.htm

うーん、そうだったのか…勉強になりました。

これで、クライアントから依頼や問い合わせが来たときにすぐに回答できるぞ!
ライセンスの有無くらい、整理標準化データでちゃちゃっと確認できるようになればいいのになぁ。

見つけたひとつのニュースからだいぶ話題が離れてきましたが、もうひとつ気になるのは、ライセンスしていたとしてそれが専用実施権なのか、通常実施権なのか、あるいは独占的通常実施権なのかということです。

豚インフルエンザの警戒レベルがさらに上がったら、93条で経産大臣の裁定による通常実施権が設定されたりなんて可能性もあるのかなぁ、でも裁定に持ち込む前にあっさりライセンスされちゃうのかな、なんて考えてしまいました。

それにしても、知らないことばっかりです。(とか言いつつblogで無知をさらしちゃっていますが(汗)あぁ、どうして覚えることってこんなにいっぱいあるのでしょう。クライアントにとって頼りになるサーチャーへの道は遠い。。。
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by hemp-vermilion | 2009-04-28 23:55 | 知財いろいろ

ツッコミ甲斐も無いが…

たまには知財の話でも。blogをはじめたのが大学院の授業の終盤の12月で、明日からまた前期の授業が始まるまで授業の話題も無く、ついに「大学院授業」のタグの付いた記事と「大好物」タグのついた記事の数が同じに…

またしてもNIKKEI NETですが、「特許権紛争、裁判所処理に一本化 特許庁との対立解消へ」という記事を読みました。

NIKKEI NETの知財系の記事は信憑性に難ありというか、正確性がイマイチなのですが、確かに特許庁と裁判所の対立は解消された方が良いに決まっています。

だって、拒絶査定にもめげず請求不成立審決にもめげず、審決取消訴訟でやっとこさ特許に基づいて権利行使をしたところが、104条の3の抗弁なんかされてそれが認められちゃったりした日には…どれだけのお金と時間と労力とが出願人にとって無駄となってしまうことでしょう。

そして、これに矛盾するようですが、審決取消訴訟まで粘れば、けっこうな割合で特許になるとも聞いています(上司からなので具体的なソースなし)。いずれにしても、審査官・審判官の判断と裁判官の判断に食い違いがあるっていうことですよね。まぁ、審査官と審判官、あるいは審査官どうしでも判断に食い違いはあると思いますけれども。

特許庁は審査基準に基づいて審査するわけですが、裁判所はそんなものにお構いなく判断を下すわけで、結局はそこに食い違いがあるのではないかと思います。審査官・審判官の中にもいるらしいのですけれどね、審査基準に基づいて判断するということに法的根拠がないとして独自の判断基準を貫く方が。

それはともかく、この記事の「裁判所の判断への一本化」っていう記載は、まるで特許の有効・無効の判断を特許庁が行わないで裁判所が一切行うというように読めます。判断基準の統一というのはあってよいと思うのですが、これはどうか…?もともと、特許だの拒絶だのっていう行政処分は行政庁たる特許庁が行うことで、裁判所がやって良いものなのか!?104条の3の趣旨や法目的は、そこまで言っていないだろう…

冒頭にも言ったように、NIKKEI NETの記事はアレなので、どこまでが本当でナニを意図して書かれた記事だかイマイチ掴めず、掴めないうちからいろいろ言ってもしょうがないので、今日はここまで。。。
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by hemp-vermilion | 2009-04-06 20:33 | 知財いろいろ

ネコに癒される

今夜はNHKの時論公論で「特許制度が危ない・知財高裁の課題」を放送するっていうから、眠いのに頑張って起きていたのに…急遽「高齢者施設火災と生活保護」になってしまってガッカリしました。あぁ、こうなると分かっていたら娘を寝かしつけるのと一緒に私も寝たのに。。。

そこへ帰宅したダンナ様。お仕事で相当お疲れ&ストレスが溜まっておいでのご様子。「こんな時には猫動画だよ~」と、ニコニコ動画を二人で鑑賞しました。

お掃除ロボット「ルンバ」の上で寛ぎながら部屋中をぐるぐる回る猫とか、二人して笑い転げながら見ていると、ダンナ様が我が家の猫に向かって言いました:
「おまえ~もうちょっと面白くならないと世間の猫に対抗できないぞ!」

最後にはとうとう「私もニコニコ動画のアカウント作ろうかなぁ~」とつぶやいてしまうほど、猫動画に癒されたご様子。うんうん、よかったよかった。

それにしても、仔猫の動画を見ると、我が家の猫がやってきた当時のことを思い出します。手のひらサイズで120グラムしかなくって、目もあいていなくて…確か2003年の秋だったから、もう5年半も前のことになるんですね、早いものです。当時は夜中に起きて哺乳瓶で粉ミルクを溶かして与えていた(主に今のダンナ様が)のに、もうちょっとでカリカリも猫缶も「シニア猫用」に変わるんだ!

Before ↓
c0182293_1241243.jpg

After ↓
c0182293_124517.jpg

なんちゃって。。。
健康で長生きしてちょうだいね。

【追記】 2009年4月13日--------------------
4月8日に放送された上記解説の詳細はこちら:
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/18118.html
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by hemp-vermilion | 2009-03-24 23:35 |

ニュースでびっくり

年末に祖母が亡くなり、年始早々忌引休暇をもらったため実質的に今日が仕初めだった私。なのに電車遅延で早速遅刻です。とほほ。。。岐阜(ダンナ様の実家)のお土産を持っていったのですが、私が水屋に置こうとした時にはすでに全国の銘菓が所狭しと並んでおりました。うぅっ、私の柿羊羹の置き場所がない…日持ちのするお菓子なので、皆さんのがなくなった頃に出しましょう。

ところで、昼休みに「パテントサロン」を読んでいて目に留まった見出しが「特許、ソフトも保護対象に 大幅な法改正、特許庁検討」。あれれ?ソフトウェアはすでに保護対象になっているはずだけど???とりあえずリンクをクリックすると、さらに驚くべき記事が。

特許庁は特許法の大幅見直しに向けた検討に入る。「モノ」が対象だった特許の保護対象にソフトウエアなどの無形資産を追加。
(上記リンク先「NIKKEINET」より一部抜粋)


えぇぇ!?この最初の2文だけでも突っ込みどころ満載です。

まず、特許法は現時点ですでにソフトウェアも保護対象にしています。しかも、プログラムは「物」の発明として保護されているし。無形資産っていうけれど、方法の発明とか、物を生産する方法の発明だって無形といえば無形だし。そもそも、発明のカテゴリというのはそれによって実施行為や侵害とされる行為が異なるというだけのことで、特許法上の保護対象はあくまでも技術的思想である発明であり、すなわち無体物なわけです。知的財産権のことを、無体財産権とも言うくらいだし。

ひょっとして民法とごっちゃにしてるとか?確かに民法には「この法律において『物』とは有体物をいう」って85条に規定してあるし。でも、だからこそ、特許法という特別法でもって民法がカバーできないところをカバーしようとしてるわけで。

とりあえず特許庁のウェブサイトに行ってみたけれど、すぐに見つかるようなところにそれらしい記載は見当たらず、結局、この記事は何のことなのかよくわかりません。

でも、私が授業の課題で頭を悩ませたように、ソフトウェア関連特許にはいろいろと問題が多いのは確かです。そもそも、ソフトウェアを特許によって保護すること自体に反対だという人達もいっぱいいますしね。保護期間が長すぎるとか、侵害予防調査なんてやってられないとか。ソフトウェアを特許として保護するのに賛成な人も反対な人も大幅な改正を求めていることは確かだと思うので、やるならやっちゃってください、特許庁さん。できれば、私が大学院を修了しないうちにね。そして、当分、改正しないでください。

ここ数年、毎年どこかが改正になるのでついて行くのが大変です。なんちゃって。
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by hemp-vermilion | 2009-01-06 22:35 | 知財いろいろ